我儘とディズニーシー
ディズニーシーに初めて行ってきた。ディズニーランドに初めて行ったのは去年の4月。元彼(になってしまったなあ)と一緒に行った。
今回のシーは楽しみ半分不安半分だった。一緒に行ったのは親友くんだ。時系列的には告白された後割とすぐ、前回の電話の結構前。先月の中旬に行ってきた。
なんで行くことになったかというと、合宿で告白されたとき(男友達からの再告白 - 怠惰)、「ディズニーでリア充ごっこしたくありませんか?」と誘われたからだ。酔っ払いの私は「いいね~したいしたい!」なんて言って、その場で日程まで決めてしまったのだ。あほすぎる。もうこの時点で断るなんていう選択肢はない。人を傷つけることが何よりも怖い私だから。
しかし正直、行くかどうかかなり迷っていた。行ったら楽しいことは保証されているし、ディズニーシー行ったことないし、なにより彼をこれ以上傷つけたくなかったので、私としては行きたいと思っていた。でも、サークルのお兄さまお姉さま方に相談したら皆絶対に行かない方がいい! というものだから、すこし恐怖のようなものが湧いてきてしまっていた。
ディズニーシーに行く前日まで委員会のチームの慰安旅行に行っていた(旅行と人生 - 怠惰)。そこでチームのみんなにかいつまんで相談した。みんな、「まあ行ってきなよ、そこまで駒を進めてしまったならもう戻れない。し、君ならきっとうまくやれる」というようなことを言ってくれた。気心の知れた仲間がいてよかったと思った。正しくはないかもしれないが、いつも彼らは背中を押してくれる。
結論から言うと、ディズニーシー、めっちゃ楽しかった。
本当に楽しかった。元彼と行ったときよりも数百倍楽しかった。待ち時間も全く苦ではなかった。人は多かったけれどいっぱい乗れた。パレードも見られた。クルーズもできた。
はぐれないように指をつながれた感触とか、つまんだ服の布地の手触り、船上で握られた手のあたたかさや、「非合法かな?」と言われながら駅のホームで繋いだ手の震えを、私は一生忘れられないだろう。
開園から閉園まで楽しみつくしたので、帰りの電車では二人とも立ったまま眠ってしまうくらい疲れていた。最寄り駅に着くともう居酒屋しか開いていない時間だったので、居酒屋に入ってソフトドリンクを一杯ずつ飲み、少しご飯を食べた。
家まで自転車に乗る元気もなく、二人でとぼとぼと歩いた。他愛もない話でゲラゲラ笑いあうこういう時間が好き。
突然彼が声色を変えた。「君に言いたいことがあるんだけど」「え、なになに」「……いや、そのまま言ってもつまらないから、ぼくが何を言わんとしているか考えていただきましょうか」「え、めんどくさい」「まあまあ、面倒くさがらずに」
めんどくせえよ。彼はいつもそうだ、何か大事な、伝えたいことがあると、絶対に相手に考えさせてから本題に入っていく。彼の心が葛藤する時間稼ぎをこっちがしないといけないのだ。そして必ずそのトピックは重たい。だからいつも面倒くさいと思ってしまう。
この状況で、この前告白された相手から言われることなんて、選択肢は3つぐらいしかないだろう。ひとつは恋人になるための告白、もうひとつは友達に戻るための告白撤回、最後のひとつは友達と恋人の狭間でいて、絶対にどちらにも戻れないかつ進めない関係への提案。
でも、そのどれでもなかった。
「今夜、一緒にいてくれませんか」
私は混乱した。つまり? そういうことだろうか。曲がりなりにも私に好意がある人と私が一晩一緒に過ごすというのは。
「え、でも、前にも言ったけど、私はいいよ? 全然。行くよ、家。でも君が良くないでしょ、だめでしょ」「あ、いやいや、いいんです。もう恋人になることを目指していないし。僕も君と同じように、今のままの関係がベターじゃないかって、思っています、今は。だから、お酒でも買って一緒に喋って、一緒の布団で眠ってくれませんか。このまま別れて眠るのは、寂しすぎるから」「わかった。でも私の部屋汚い」「そういうと思って、昨日一日かけて片づけたんです、僕の部屋」「さすが親友だ」
彼の部屋にあがって、お酒を飲んだ。二人とも疲れていて、すぐにベロベロになってしまった。またゲラゲラ笑いあった。
お風呂をお借りして、スキンケアをして、一緒に歯を磨いて、抱き合って寝た。何でもない、”まとも”な日常を取り戻せた気がした。こんな状況で可笑しいけれど。でも、彼がいてくれて本当によかった。
彼氏と別れて、もう誰も私のことを好きになってくれないんじゃないか、愛してくれないんじゃないかと思っていた。
愛してくれているかはともかくとして、好きでいてくれる人はいる。気に入ってくれている人はいる。ただただ、嬉しい。生きていていいんだと思う。
でも、どうすれば自分自身を愛してあげられるんだろう。結局このままでは他人から承認を得て喜んでいるだけだ。
本質的に、自分を愛するためには、どうしたらいいんですか。